日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

なぜ、私は家でパンを焼くようになったか  パン焼き顛末記

私は、今のところ主夫業が仕事だから、週に5回は夕食を作る。もともと料理の経験はないに等しい。生来の不器用に重ねて、持病で右手がうまく動かない日もあるから、実は私にとってはけっこうな負担である。しかも我が家は、私と家内の夫婦と息子、それに私…

「世紀の小説『レ・ミゼラブル』の誕生」(デイヴィッド・ベロス著 立石光子訳)を読む   小説の「伝記」? 読み応え十分の力作!  

本書は『レ・ミゼラブル』という「小説」の「評伝」である。一編の小説の評伝というのはあまり聞いたことがないが確かにそうなのだ。部分的には、作品自体の文学評論でもあるし、ヴィクトル・ユゴーの評伝でもあるのだが、全体を通してみれば内容はあくまで…

「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」を見る  最新テクノロジー下の戦争はあまりに人間的な……

最近は、どんな映画かとかより、誰が出ているかで映画を選ぶことが多い。この作品もヘレン・ミレンが出演しているので、CSで録画していたのだが、強烈なサスペンスにグイグイと引き込まれた。無人機ドローンによる遠隔攻撃を描いた映画だが、人間同士が直接…

また夢の話。

いくつか前の記事で悪夢の話をした。また夢の話になる。 思いがけない夢を見た。Wという女生徒と教室で面談をしている夢だ。私が中学校でWの担任をしていたのは、もう、30年も前のことなのだが、夢の中の私はもちろん若い。私は、眠りながらクスクス笑ってい…

自転車に乗れなくなった話

自転車に乗れなくなった。持病のせいで、薬の効果が切れると右足に力が入らなくなってペダルが漕げなくなる。無理に力を入れて漕ぐと右によれてしまう。なるべく歩道や広い道を通るのだが、転んだり、電信柱に突っ込んだりした。 それで、自転車は諦めること…

「ひとり狼」(池広一夫監督)を見る  道中合羽に三度笠の雷蔵もすっきりとカッコイイが、映画自体はあまりすっきりとはいかないようで……

雷蔵晩年の作品。相変わらず殺陣での動きはよいが、すでに病に侵された頃なのか、顔は陰影が深い。 「沓掛時次郎」「中山七里」(どちらも未見)に続く、雷蔵と池広監督の股旅物三部作の三作目でけっこう有名らしいのだが、どこかバランスが悪い映画で、セリ…

野球小僧のバトン   NHK「平成史スクープドキュメント 第1回 大リーガー NOMO ~“トルネード” 日米の衝撃~」を観る

番組の最後の方だ。インタビュアーが選手としての晩年の時期について質問をした。 「マイナー・リーグやベネズエラリーグでやったわけですね。あの野茂がというような視線は感じませんでしたか」 野茂は少し怪訝な表情をして答える。 「いや、マウンドに立ち…

わが悪夢の系譜  ちょっと大げさな題名で恐縮ですが……

私はよく苦しい夢を見る。悪夢といってもよい。夜中に、大声をあげたり、長々と喋ったりというのはけっこう頻繁にあって、あまりひどいと家内が揺り起こしてくれる。 3ヶ月ほど前に、それが極端に悪化した。妄想のような夢が多くなった。夢と現実の境が曖昧…

「張込み」(野村芳太郎監督)を観る  美しいモノクロ画面に繰り広げられる緊迫のサスペンス 

昔の映画を見ると、ついついあのころはこんな風だったんだな、というような風俗に目がいってしまう。 『あの頃映画 the BEST 松竹ブルーレイ・コレクション 張込み』 [Blu-ray] 出版社/メーカー: 松竹 発売日: 2015/07/03 メディア: Blu-ray この商品を含む…

庄内柿をいただいて……いつから、柿がこんなに好きになったのだろうか

山形の叔母から父へ柿が送られてきた。父は94歳だから、年は離れているといっても、叔母も85、6歳にはなるのだろう。父が生き残っている兄弟では一番年上だから、3人いる叔母たちは随分気にかけてくれて、それぞれが携帯電話でしょっちゅう連絡してく…

ここ一週間に読んだ本・読み通せなかった本 「僕が殺した人と僕を殺した人」東山彰良(文藝春秋)「高峰秀子 解体新書」斎藤明美著 (PHP研究所)「逆さに吊るされた男」田口ランディ(河出書房新社」

私は仕事を引退しているので、まあ隠居といってよいのだが、主夫の仕事はしなくてはならず、毎日が日曜日というわけにはいかない。平日の午前中は買い物や父の昼飯の用意、午後は洗濯物を入れたり、夕飯の支度をしたりとなかなか忙しい。なんといっても手際…

「妻は告白する」(増村保造監督)  見ているうちに、若尾文子にじわじわと絡め取られていく  

見ているうちに、男が次第に女の用意した蜘蛛の巣に絡め取られるようなゾクゾクした、寒気のようなものを感じてくる。どこかおかしいと思いながらも、糸に巻かれるように、男は身動きができなくなっていく。若尾文子には艶でいて、どこか清潔感のある不思議…