読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

柚木麻子著「BUTTER」を読む 確かに上質な「バター」は濃厚で美味だが‥‥

 

 この作品が、死刑判決が確定した木嶋佳苗死刑囚の首都圏連続不審死事件をモチーフに書かれたものであることは新聞広告で知っていた。私は木嶋佳苗について、ニュースの報道程度しか知識がない。本屋で手に取った時、本の帯の惹句に「獄中から溶け出す女の欲望がすべてを搦め捕っていく」などとあるから、犯罪小説、推理小説に類するものかと思った。どうしようか迷ったが(殺伐とした小説を読むのが億劫になっているので)、結局、題名と印象的な表紙に惹かれて、ついつい購入。この著者の作品は「ランチのアッコちゃん」を読んだはずだが、あまり覚えていない(「和菓子のアン」とゴッチャに記憶されていた)。

 

BUTTER

BUTTER

 
続きを読む

「キングコング 髑髏島の巨神」 キングコングのサイズは…

 

 公開初日に、息子と一緒に日本橋で見た。公開初日というと、待ちに待ったという感じがするが、そういうわけではなくて、部活で忙しい息子と出かけられる日が丁度その日だったというだけのことだ。映画を観る前に、丸善で本を買って、早めの昼食に名物ハヤシライスを食べた。劇場は八分以上の入り。思いの外、年齢層が高いのは字幕版だからか。

 

キングコング 髑髏島の巨神

キングコング 髑髏島の巨神

 

 

続きを読む

「柘榴坂の仇討」  えっ! 「キョウジ?」「ケンシン?」

 なんの予備知識もなく見始めたのだが、よい映画だった。最近の映画では、めずらしい、時代劇らしい時代劇だとも思った。だから、なおさら、時代劇は難しくなってきているのかな、とも考えたりした。

 

柘榴坂の仇討 [Blu-ray]

柘榴坂の仇討 [Blu-ray]

 

 

続きを読む

我が家の花見

 ようやく花が散りはじめた。土日に雨が降って、今年の桜はもう終わりだと思っていたから、何日か得したような気分だが、節目節目に雨が降ったことで、我が家では今年の花見は諦めることになった。

 花見といっても、ここ数年は、妻が運転する車に乗って近所の桜並木の下をドライブするのが、我が家の花見だ。今年92歳になる父は、2年ほど前から肺気腫を患って、入退院を繰り返しており、在宅酸素が欠かせない。出かける時は、傍にボンベを置いて、トランクに車椅子を積んでということになる。父は、格段、花にこだわりを持っているわけではないが、今は医者に行く以外は外に出られないので、花を見れば、やはりどこか感慨深げではある。

続きを読む

「君の膵臓が食べたい」  私は小説を読んだはずだが

 以前、「あと500冊の本」という記事を書いた。死ぬまでにせめてこのくらい読めたらという私の願いだ。そして、そこにはつぎのようなことを書いた。

 

 あと、500冊。それなら、つまらない本は読みたくない。これを読めば、何かのためになるとか、何かの役に立つとか、そういうのも嫌だ。見栄や体裁で本を選ぶことは、最もばかばかしい。かといって、昔読んだことのある、安全な本ばかり読んでいるわけにもいかない。新しいものを補充しない読書生活も送りたくない。

 

 随分、偉そうに書いているが、とはいうものの、小説の場合(私の場合は、読書の7割ぐらいが小説なのだが)は、この年齢になってみると新しい作家やこれまで読んだことのない作家の本を読むのは、なかなか冒険心が必要だ。読む力に柔軟性が欠けはじめているし、これまでの固定観念的なものにとらわれやすい。別に、この本を読み始めたのは失敗だなと思えば、途中で読むのをやめても、誰に咎められるわけでもないのだが、貧乏性なのか、無駄な時間を使ったような気がして落ち着かなくなる。特に、購入した本の場合は、貧乏性が加速する。間近に、本屋が少なくなったこともあって、本の衝動買いはずいぶん減ったのだが。

 「君の膵臓が食べたい」は、その数少ない衝動買いした本の一冊だ。まだ、出版されてすぐの頃だ(第1刷を購入している)。奇抜な題名に、なんとなく勘が働いたのだが、買っただけで満足したような気持ちになり、結局、手に取ったのは一月ほど前だ。

君の膵臓をたべたい

続きを読む

「棋士という人生ー傑作将棋アンソロジー」を読む  「棋士」という生き方とは?   

 今期の将棋名人戦は佐藤天彦名人に稲葉陽八段が挑戦している。21年ぶりの20代対決、否が応でも盛り上がるところだが、その佐藤名人が電王戦二番勝負第1局で将棋ソフト「PONANZA」に第一局を敗れた。

 棋士は、その圧倒的な強さによって絶大な信頼を得てきた。だがコンピュータの驚異的な進化によって、棋士の絶対的な「強さ」が揺らぎ、棋士という存在そのものが問われているかのように考える人もでてきた。一体、棋士とはどういう存在なのか。なぜ、それほどに過酷な生き方を目指すのか。大川慎太郎の「不屈の棋士」を読んだときにも思ったことだが、大崎善生編の「棋士という人生ー傑作将棋アンソロジー」を読んでみると、改めて「棋士」の輪郭が浮かび上がってくる。

 

棋士という人生: 傑作将棋アンソロジー (新潮文庫)

 

続きを読む