日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』  ?

『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』

 何か、どこかで見たことがあるようなそれでいてあまり現実味のない登場人物が、どうもよくわからないままに破滅に向かって絶望的な旅をするロードムービー。格差社会を生きる若者のやり場のない怒りや衝動、閉塞感を描きたいのだろうということはなんとなくわかるが、どの登場人物にも共感ができないから、見ていて、えっ、えっ、というような驚きと戸惑いの連続だった。

 

 

 

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『フランケンシュタイン対地底怪獣』&『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』

『フランケンシュタイン対地底怪獣』

 何年か前に東宝特撮映画DVDコレクションを揃えたのだが、集めるだけ集めてあまり見ていなかった。この連休で少し時間があったので、何か見てみようと思って、散々迷ってこの映画を選んだ。子どもの頃、この映画を見た記憶ははっきりとあるのだが、実はストーリーは、あまり詳しくは覚えてはいない。ただ、とにかく怖かった記憶がある。

 

 

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『セッション』  えっ、芸道一代?

 

『セッション』 

 ジャズドラムを学ぼうと名門音楽学校に入った青年と、彼にすさまじいスパルタ的指導を行う教師の繰り広げるドラマ。  

 音楽映画というと、やはり少しずれてしまう。古めかしい言い方だが、一種の芸道物といってもよいのか。日本人は、この手のものは基本的に好きなはずだが、私も例外ではなく、けっこう気に入った映画になった。

 

 

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 名門音楽学院に入学したニーマン(マイルズ・テラー)は、ひょんなことからカリスマ教師フレッチャー(J・K・シモンズ)に見込まれて彼のジャズバンドの一員に抜擢される。  

 そこで待っていたのは、時に暴力をも辞さない、サディスティックまでのシゴキだった。完璧な音楽を目指すフレッチャーの指導はアメとムチを使い分けながら、次第に狂気とも思えるほどエスカレートしていく。ニーマンはとりつかれたように必死に食らいついていくが……。  

 傲慢でエゴイスティック、自分の求める音楽のためには手段を選ばない鬼教授と、這い上がるための野心に次第に、自分を見失い妄執にとりつかれていくニーマン。

 映画は、異様な緊張感でまるでスリラー映画のように進んで行く。

 そして、フレッチャーの狡猾な罠にかかったニーマンは、全てを賭けて思わぬ行動に出る。ニーマンがフレッチャーの指示を無視して、ドラムを叩き続けるシーンは、果たし合い、斬り合いのような迫力がある。

 情熱も努力も信頼も絆も役に立たない。善き人であるより、非人間的であることによってしか、たどり着かない場所がある。だからこそ、何もかも打ち捨てても人は芸に魅入られていく。その結末はなんとも皮肉なものだが、芸とか芸術の至福の時は、こんな形で奇跡のように現れるというのは真実なのだろう。

 フレッチャー役のシモンズは、起伏の激しい難役を怪演。ニーマン役のマイルズ・テラーも熱演で、まずは見応えのある映画だ。

 原題は「WHIPLASH」。鞭打つという意味があるようだ。

《監督》デイミアン・チャゼル  2014年公開

 

追記

 私は音楽に無縁で、ジャズに全く疎いので、この映画を音楽的にどうこうという能力も資格もない。でも、だから、この映画がわからないというわけではないだろうと思う。私としては、自由に映画を楽しむだけである。

次の記事も、どうぞお読みください。

 

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『あの日 あの時 愛の記憶』  歳月と記憶の行く末

『あの日 あの時 愛の記憶』  

 何かこなれない題名だと思ったが、見終わってみると、なるほどと思った。この映画は、極限状態でのラブ・ストーリーであるとともに、歳月と記憶の持つ残酷さを描いたドラマである。

 

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『武士の献立』 上戸彩のメタモルフォーゼ

『武士の献立』

 上戸彩は、いつからこんなにせつない表情をする女優になっていたのか。いや、表情だけではない。夫を死なせないために、刀を持ちだして逃げるシーンでは、全身から人を思うせつなさが伝わってくる。テレビドラマの『昼顔』の時、突然変異かと目を見張った記憶があるが、この映画の時に、すでに、上戸彩はメタモルフォーゼしていたのだと気付いた。以前は、元気な愛らしい女優だというだけで、演技はごく平均的な印象しかなかった。『武士の献立』は、どちらかといえば家庭ドラマ、人情ドラマのジャンルに入る映画だが、そういう映画で、彼女から目が離せなくなるというのは、私にはちょっとした事件といってよい。

 

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『百円の恋』 安藤サクラは、確かに並みの女優ではないが……  

『百円の恋』 

 安藤サクラが数々の賞を獲得した映画、という程度の予備知識で見始めた。32歳のひきこもりのダメ女の恋物語であり、成長物語。一種、独特な熱気のある映画で、最後のボクシングの試合のシーンなどは結構ハラハラしてみていたし、2時間近く、退屈することはなかったが、だからといって感動したかというとそうでもない。  

 

百円の恋

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『とらわれて夏』 ケイト・ウィンスレットは、息をのむほど美しい

『とらわれて夏』

 何か題名が昔の歌謡曲みたいなので、一瞬見ようかどうか迷ったが、見始めたら引き込まれてしまった。原題は『Labor day』。アメリカでは「労働者の日」という休日で、9月の第一月曜日。夏の最後の連休。次の日から新学期が始まるので、この日は「夏の終わりを告げる日」という意味があるらしい。

 

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『冬の嵐』 最近、年とともにサスペンスは苦手になっていたが……

『冬の嵐』

  アーサー・ペン監督、メアリー・スティンバージェン主演のサスペンス映画。予備知識がなく、さして期待もせずに見始めたのだが、これがなかなかハラハラドキドキさせる映画で見ごたえがあった。

 

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 冒頭、冬の夜に、人気のない駐車場でなんらかの取り引きに臨んだ女が、車中で殺され薬指を切り取られる。

 売れない女優ケイティは、“代役募集”の広告に誘われてオーディションを受ける。審査員のマレーはケイティを一目見ただけで採用。ケイティは足を怪我している夫ロブを残し、零下40度の冬の嵐をついて、マレーに連れられ、プロデューサー、Dr.ルイスの家に向かう。

 映画の仕掛けや伏線が凝っていて、小道具の使い方もうまい。殺された女、その姉、そして女優の三人が、瓜二つという設定は、無理があるようでいて、実はよく考えられている。ケイティが死んだ女に(その姉にも)瓜二つであることと、女優であることが、この映画のサスペンスの根源になっているからだ。途中でケイティの指が切り取られるが、この指がないということも、このヒロインの生き残りをかけた戦いのキーポイントになっている。屋敷に向かう途中、ガソリンスタンドでおまけとして貰った金魚、自動ピアノ、何気なく語られる熊の剥製のこと、などが、最後の場面に生きてくる。驚かせ方も堂に入ったもので、見ていて、ついついヒロインと同じように息の止まるような思いをする。アーサー・ペンの見事な手腕が随所感じられる。ただ、後味のよい映画ではないので、好みは分かれるか。

 メアリー・スティンバージェンは一人三役。主演作品を見るのは、初めてだと思う。どちらかといえば、地味な顔立ちの女優だが、演技力は確かなものがある。

 ただ、この映画の成功は、精神科医であるDr.ルイス役のヤン・ルーベスと、かつての患者で今はルイスと同居し、世話をしているマレー役のロディ・マクドウォールによるところが大きい。特に、ちょっとした仕草や言葉の端々に、隠しきれない狂気を垣間見せるロディ・マクドウォールの印象は強烈だ。かつての『我が谷は緑なりき』の名子役の面影は、この役からはまったくうかがえない。

 こういう映画を見たのは久しぶりだ。最近は、年とともに、サスペンスやスリラーは苦手になって、なんとなく避け気味だったが、質の良いものに当たると、また良いものを見てみたいと妙に意欲が湧いてきたりするのだから、誠に勝手なものである。

《監督》アーサー・ペン  1987年 アメリカ映画

 

 

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後記 

 ・原題は「Dead of Winter」。『冬の嵐』という邦題は芸がないか。

 

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『アイリスへの手紙』 ジェーン・フォンダは本当にいい女優だが

『アイリスへの手紙』 

  この映画を見て、ジェーン・フォンダって、こんなにいい女優だったんだと、初めて思った。『ジュリア』『帰郷』など、出演作は何本か見ているが、特別の印象はなかった。知的だが、どこか鼻っ柱が強そうなイメージが先行していて私のセンサーにはあまり反応してこなかった女優だ。

 だが、この映画で彼女が見せる、女性としての様々な強さ、切なさ、しなやかさは、実に魅力的だ。

 

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50年前のマンガ喫茶?  「サクラ」になった思い出

 「サクラ」になった思い出 

 私の住んでいるのは、東京の東のはずれで、まあ、下町風(本当の意味での下町とは、多分ほど遠かったのだろうが)の所だった。私が子どもの頃は子どもが溢れている時代だったから、下校後の子どもをターゲットにした商売が随分あった。 紙芝居屋や型屋(カタヤ、と読む。粘土屋とも言った)、爆弾あられや玄米パン。飴細工なども見かけることがあった。大体、公園か学校の校門のところで商売をしていた。どれも大儲けのできるような商売ではなかったが、日銭を稼いでけっこうそれで食っていけたのだろう。

 

黄金バット 第1巻

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