日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

映画「点と線」(小林恒夫 監督)を観る  昔の清張映画もなかなか新鮮なのだが……  それにしても、高峰三枝子は見事なほど美しい。

「点と線」著者の最初の長編推理小説であり、松本清張ブームを巻き起こした作品であり、「ゼロの焦点」とともに、清張初期の推理小説の代表作だが、基本は時刻表トリックを使ったアリバイ崩しのどちらかといえば、地味な作品であり、いまの若い人にとっては…

先崎学「うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間」(文藝春秋社)を読む   こんなに近くにうつ病があった!

闘病記である。私が、滅多に読まないジャンルの本だ。だが、あの「天才先崎」がうつ病?棋界きっての文才を誇る先崎学がうつ病になったのか。本屋の店先で思わず手に取った。10ページほど読んで、すぐにレジに向かった。多才な棋士である先崎学に何が起こ…

山本周五郎「五辯の椿」を読む  復讐劇の仕掛けは…… 

何十年ぶりかの再読である。根気がなくなっている昨今には珍しく、一気に読んだ。若い女の復讐劇。母「おその」とその愛人を焼き殺し、母の遊び相手だった男たちを色仕掛けで惑わせ、次々にかんざしで刺し殺していく。よくよく考えれば、ヒロイン「おしの」…

BS1「アスリートの魂 いつだって その“心”で~大関 栃ノ心~」を観る  にわかファンが、本当のファンになった

秋場所の鶴竜対栃ノ心の取り組みには本当にびっくりした。横綱鶴竜は10戦全勝。カド番大関栃ノ心は6勝4敗。これからの対戦相手を考えるとあとがなかった。立ち合い低くあたった鶴竜は、双差し。絶体絶命の栃ノ心は、肩越しに両上手をとり、苦肉の策とも…

西村寿行「滅びの笛」を読む  ネズミのパニックの話だが、別の話に思えてきて……

この作者の作品は、一時期続けざまに読んだ記憶があるから、この作品も読んでいるはずだが、うっすらとしか覚えていなかったので新鮮に読めた。中部山岳地帯で大量発生した鼠群と人間との闘いを描いたパニック小説。刊行が1976年。この頃、「タワーリング・…

小野寺史宜「ひと」(祥伝社)を読む  スラスラ読めるのだが……

初めての作家。つい手にとったのは、本の帯につられて。 「本の雑誌が選ぶ2018年度エンターテイメントベスト10 第2位」 「心洗われる、本物の感動で重版続々!!」 「おお、どうしてこんなところで涙があふれてくるのだろう」 ひと 作者: 小野寺史宜 出版社/…

加地伸行「マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる人々」(飛鳥新社)を読む   バッサバッサと切れ味鋭く……

こういう斬られ方をすると、当事者は心身ともにかなりこたえるだろうな、と読みながらなんども思った。 著者は、大阪大名誉教授、加地伸行(82歳)。本書は産経新聞連載のコラム「古典個展(こてんこてん)」等をまとめたものである。著者の専門は中国古典…

NHKドラマ「透明なゆりかご」(第9回)を観る  清原果那に釘付けになる

主演の清原果那は十六歳だそうだ。だが、堂々たる主演ぶりである。このまだ少女といってよい女優から、目を離せない。 「透明なゆりかご」は、産婦人科の過酷な現実を捉えながら、命の価値や意味、親子や夫婦の絆、子育てと生活の現実、医師や看護師の倫理等…

森敦「月山」を読む つまらなくはないが、ではどこが良いのかといわれると……

私が大学生の頃、芥川賞を受賞した作品で、著者の森敦は六十二歳だったので、遅咲きの作家の受賞ということで当時随分話題になったのを覚えている。友人が購入したものを借りたのだが、結局読まずに返してしまった。 今回、この小説を読んだのは個人的な事情…

山本周五郎の短編を読んで、なるほどそうなのかと思ったこと

文春文庫から沢木耕太郎編の山本周五郎の短編集シリーズが4冊出ている。山本周五郎というと新潮社というイメージがあるが、多分著作権が切れた関係なのか、各社から選集だの、文庫本などが刊行されはじめている。 長編全集は何年か前に刊行されたものを持っ…

BS日テレ「密着!すもう部屋物語~第三幕~」を観る 国技っていうけれど

大相撲九月場所が始まった。初日、二日目と稀勢の里がなんとか勝った。初日は、怖くて見てられなかった。今日の貴景勝との取り組みもスリル満点だった。観客の歓声と拍手が鳴り止まない。やはり日本人横綱への期待と愛着は、国技だから格別のものがあるのだ…

山里亮太「天才はあきらめた」(朝日文庫)を読む  「熱く」て「暑苦しい」のだけれど……

文庫の帯に「あの実力があって慕われていないとなると、よっぽど人望がないのだろう」(若林正恭)とある。ずいぶん刺激的な惹句に、ついつい手にとった。お笑いは嫌いではないが、芸人やタレントの本を読みことはほとんどない。だが、手に取ると朝日文庫だ…