日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

読書

図書館の憂鬱        

久しぶりに、区立の中央図書館に行った。バスか電車を使えば30分ぐらいだが、それでも実際に出かけるとなると億劫で、早々頻繁には通えない。歩いて5分ぐらいのところに地域の図書館があるから、普段はそこを利用しているし、区内の図書館の蔵書はネット…

貧困の基準  鈴木大介「最貧困女子」(幻冬舎新書)を読む

先週、テレビドラマ「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班 」を見ていて、強烈な違和感を覚えたシーンがあった。捜査官が若いテロリストに聴取する場面だ。その青年(いや、少年か)、取り調べをする捜査官に年収を問いただす。捜査官は手取りで700万円ぐらいと…

「百年小説」(ポプラ社)を手に入れた アンソロジーは楽しい!

この本、なにしろ、厚い。1333ページ。見た目は広辞苑というところか。日本の短編小説のアンソロジーなのだが、これほどのボリュームのものはこれだけだろう。とはいっても、作品数はそう多いわけではない。贅沢な作りなのだ。ネットオークションで手に入れ…

私の積ん読状況  「積ん読」にも、一応言い訳がある

連休が終わって、だいぶ経つが、やっぱりというか、予想通りというか、連休中に読もうと、文字通り、積んであった本は、それほど高さも変わらずあちこちに積まれたままである。 ベッドの脇には、高価なのに思い切って買った「竹山道雄セレクション」の第4巻…

半村良「小説 浅草案内」を読む 浅草は近いような、遠いような

半村良の「小説 浅草案内」を読み終わった。先月、馬券を買いに行った帰りに錦糸町の熊沢書店で買い求めたものだ。以前に、図書館で借りて、最初の2篇ばかりを読んで、なんとなくそのあとを読みそびれて返却してしまったのだが、先月、三遊亭円歌の訃報が流…

なぜ、今、「人間失格」なのか  ビックコミックオリジナルで太宰治「人間失格」コミック版の連載が始まったが、

以前は、何種類も買い求めていたマンガ雑誌(青年コミック誌といった方がよいのか)もすっかりご無沙汰になっているが、小学館の「ビックコミックオリジナル」だけは、今も定期的に購読している(これはもちろん理由があるのだが、それはまた別の機会に)。 …

白鳥の弔辞を読む  「白鳥随筆」正宗白鳥 講談社文芸文庫

講談社文芸文庫の「白鳥随筆」をポツポツと読んでいる。巻末に著作目録と年譜が付いているのだが、正宗白鳥は83歳で昭和37年10月に亡くなっている。この本には、同年に発表された文章が3編載せられており、この作家が死の直前まで現役であったことが…

柚木麻子著「BUTTER」を読む 確かに上質な「バター」は濃厚で美味だが‥‥

この作品が、死刑判決が確定した木嶋佳苗死刑囚の首都圏連続不審死事件をモチーフに書かれたものであることは新聞広告で知っていた。私は木嶋佳苗について、ニュースの報道程度しか知識がない。本屋で手に取った時、本の帯の惹句に「獄中から溶け出す女の欲…

「君の膵臓が食べたい」  私は小説を読んだはずだが

以前、「あと500冊の本」という記事を書いた。死ぬまでにせめてこのくらい読めたらという私の願いだ。そして、そこにはつぎのようなことを書いた。 あと、500冊。それなら、つまらない本は読みたくない。これを読めば、何かのためになるとか、何かの役…

「棋士という人生ー傑作将棋アンソロジー」を読む  「棋士」という生き方とは?   

今期の将棋名人戦は佐藤天彦名人に稲葉陽八段が挑戦している。21年ぶりの20代対決、否が応でも盛り上がるところだが、その佐藤名人が電王戦二番勝負第1局で将棋ソフト「PONANZA」に第一局を敗れた。 棋士は、その圧倒的な強さによって絶大な信頼を得て…

『プレイボール2』 谷口くん、再び

初めて「グランドジャンプ」という雑誌を買った。表紙はもちろん、谷口くん。『プレイボール2』の新連載が始まった。三十数年ぶりの復活。作者のちばあきおは早くに亡くなっている。『グラゼニ』のコージィ城倉が、続編を引き受けるという大役に着いた。 「…

「動物農場」を読む

ジョージ・オーウェルの『動物農場』を読んだ。先月、流行にのって(?)『一九八四年』を読んだ。『一九八四年』は小説の後半で、だいぶ滞って読み進めるのが辛かったが、これは一気に読み進められた(短いということもあるのだが)。 動物農場: 付「G・オ…

「ワザ、ワザ」と「ちい、ちい、ちい」  私の中学時代2

中学2年生の息子の新学期が始まった。去年は、夏休みの最後に宿題でずいぶん慌てていたが、今年はうまく切り抜けているらしい。夏休みの宿題というと、厄介なものの代表選手が読書感想文だろう。今はだいぶ様子も変わってきているだろうが、それでもネット…

酒の歌など  牧水を想う

酒の歌など 牧水を想う 最近、情けないほど酒が弱くなってきた。ちょっと晩酌が過ぎると眠気を堪えきれなくなる。晩酌といっても、せいぜいウイスキーのハイボール一杯とか、麦酒350ml1本程度だ。もともとそう強いわけでもないし、そう好きなわけでもなかっ…

「聖の青春」 「ほっぺたさわってもらい」

「聖の青春」大崎善生 11月19日公開の映画『聖の青春』の特報映像を見た。松山ケンイチが演じる夭折の天才棋士、「怪童」村山聖九段が、東出昌大演じる「天才」羽生善治四冠に対局を挑むシーンが描かれている。 よく憑依型の俳優などと称される松山ケンイチ…

「レ・ミゼラブル」のこと  ジャン・ヴァルジャン?

「レ・ミゼラブル」のこと 夏になると『レ・ミゼラブル』を読み返す。といっても、大体あちこちと虫食いのような読みかたで、最後まで読み切ったのは3回ぐらいか。実は、幾つかの場面を読みたいがために読み返している、といってもよいのかもしれない。 例…

「砂の女」  本棚の片隅に

砂の女 安部公房の「砂の女」を、私は読んでいない。読まなかったのにはちょっとした理由がある。 砂の女 (新潮文庫) 作者: 安部公房 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/03 メディア: 文庫 購入: 19人 クリック: 197回 この商品を含むブログ (346件) を…

「不屈の棋士」 棋士たちの未来・私たちの未来

「不屈の棋士」 大川慎太郎 講談社現代新書 半年前には、「将棋の渡辺くん」を大笑いしながら読んで、やっぱり「将棋指し」って、いいなと思ったのだが、この本を読みとそう悠長な時代ではないらしい。たまたま見たプロ棋士山崎隆之八段とコンピュータソフト…

大人買いの理由  「COM」や「ガロ」の頃

大人買いの理由 「COM」や「ガロ」の頃 友人が雑誌「COM」の全巻揃いを手に入れた。見おぼえのある表紙もけっこうあったが、全く覚えていない表紙も多かった。創刊号の値段は150円で、わたしの記憶より随分安い。 小学校の時は、「漫画王」という月刊誌を…

たまには、詩など  土橋治重「月見草異聞」

詩とはすっかりご無沙汰している。大学の時、友人たちと現代詩についていっぱしに議論をしていたが(私は文学部だった!)、かっこをつけていただけで、実はさっぱり理解していなかったのだと思う。たとえば、思潮社の現代詩文庫もちらちら購入したりしたの…

忘れられた作家  『足摺岬』の行方

忘れられた作家 『卯の花くたし』『鹿ケ谷』『比叡おろし』『菊坂』と目次の順に並べていっても、誰の作品かわかる人はあまりいないだろう。『絵本』『足摺岬』と続くと、私の年代だとああそうかと頷く人もいるだろうが、今も愛読しているとなるとやはりそう…

あと500冊の本  

山田風太郎に「あと千回の晩飯」という随筆集があるが、ここ何年か、それまでほぼ無限と思っていたものが、もうかなり正確に数えられるようになったことを意識し始めた。定年の時、これから好きなだけ本が読めますね、と何人かの人に言われた。私は、本好き…