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日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

死刑台のエレベーター×死刑台のエレベーター 

死刑台のエレベーター(2010年)

  エレベーターに乗ると、閉じ込められたらどうしよう、と思うときがある。実際、一度閉じ込められた経験もあるのだが、その経験より、映画の記憶の方が鮮烈だ。

 

 ルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」のリメイクと聞いて、それは無理だろうと思った。まず、エレベーターがあの頃とはまったく違う。閉じ込められたままで一晩過ごすということは考えられない。それに携帯電話。これだけ時代が変わってしまうと、この映画のトリックは成り立たないだろう、と思ったからだ。それに、日本の街、日本の俳優ではどこか垢抜けない、泥臭いものとなる、どうみても、無理だよ。というのは、素人考えで、このリメイク映画はなかなか善戦している。

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 ルイ・マル作品は、中学生の頃、テレビの日曜洋画劇場で見て、大学の頃、どこかの名画座で見ている。初めて見た時は、知的でクールなサスペンスに、フランス映画って、なんて洒落ているんだろうと思った記憶がある。モノクロの冷徹な映像。全編を流れるジャズの旋律。単純だが、見ているものをイライラさせるストーリーの仕掛けや伏線。エレベーターから脱出を試みるモーリス・ロネの焦燥と恐怖。雨の中をさまようジャンヌ・モローの倦怠、絶望、そして一瞬の狂熱と破滅。皮肉で鮮やかな結末。

 モーリス・ロネが阿部寛で、ジャンヌ・モロ―が吉瀬美智子か。「いつか読書する日」の緒方明監督でも、正直厳しいだろうと思ったが、これがそうでもなくて納得する出来になっている。阿部寛は、あの大きな肉体に説得力があり、吉瀬美智子はジャンヌ・モローのミステリアスな雰囲気はないが、美しい肢体でゴージャスな魅力に溢れている。リメイクするには難しいと思ったエレベーターの設定も、結構単純な、そう無理のない形で原作のよさを生かしており、日本映画には数少ない良質なサスペンス映画になっている。緒方監督がなかなかの手練れであることに改めて感心した。

 しかし、女優としては吉瀬美智子より、北川景子にどうしても目がいく。この、ちょっと尖った感じの顔をした若い女優は、運命にもてあそばれるように破滅に向かう、一途だが、どこか投げやりな役柄を見事に演じている。最近テレビでよく見かけるし、映画も何本か見ているが、この映画で彼女が発している不思議な魅力をあまり感じなくなっている。

 

 

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死刑台のエレベーター【新版】 (創元推理文庫)

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