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日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

いずれ、隣同士に  60代のよもやま話

いずれ、隣同士に 

 近くのコンビニで、Yちゃんと会った。「ちゃん」といっても、私より一つ学年が下だから61歳になる。小、中学校は同じだが一緒に遊んだという記憶もない。顔を合わせれば話をするがそう親しいわけではない。近くに住んでいるのだが、家は知らない。

 彼は、私の母が一番仲が良かった友人の息子である。母が亡くなって3年になるが、彼の母はさらにその前に亡くなっている。彼の父が2年前に亡くなって、その時、家に挨拶に来た。彼は、お世話になりました、と頭を下げた。

 彼の父親は連れ合いを亡くしてから、独り住まいだった。両親とは長く一緒に住んでいなかった。母親が亡くなってからも、彼は独身だが父親と同居しなかった。父親とは、どうにも折り合いが悪かったらしい。

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 彼の父親は、亡くなる前に、時折、私の家に遊びに来ていた。私の父と話をしたかったらしい。同じ町内だから、お互い古くから知っているが、母親同士が親しかったほど、父親同士は親しかったわけではない。だが、私の両親も、彼の両親も東北の同じ県の生まれだったから、話をすることはあったのだろう。多分、一人になって、デイ・サービスなどにも行っていなかったようだから、誰かと話したかったのだろう。いつも、とりとめのない話をして、なんとなく帰って行ったらしい。訪れる時は、必ずお菓子とか果物を持ってきたらしい。もともと、口数の少ない人だった。

 彼は、父親が私の家に来ていたことを、誰かから聞いたらしい。それで、葬式の後、わざわざ挨拶に来た。父親と同じように菓子折りを携えて。

 

「最近どうなの」

 私たちの年齢になると、決まって身体の話になる。

「どうも、気力がなくて」

 心臓を悪くして、長く勤めていたハイヤーの会社を辞めたらしい。失業保険も切れたし、年金までまだ間があるし、全然働けないというわけはないのだが、どうにも気力がなくて。私も、自分の持病や父の在宅酸素の話などをすることになる。コンビニの中で長い立ち話になる。実は、彼とこんなにたくさん話をするのははじめてなのだ。

 そのうち、夕方なので人が多くなってきた。家からの頼まれものも買って帰らなければいけない。

「Yちゃん、じゃ、また。身体、大事にして」

 彼は物足りなそうな、照れくさいような顔をして、じゃ、といって手で挨拶をした。

 このお盆に家族で墓参りに行ったとき、家内とYちゃんの話をした。実は、私の家の墓とYちゃんの家の墓は隣同士なのだ。同じ町内の、ウチから7、8分のところに寺がある。墓は、20年前ぐらいに売り出されたもので、近所の人が一斉に買った。当時としても破格の安さだったらしいが、それを、裏のK家のおばさんが、これだけまとめて買う人がいるんだからといって、住職と交渉してさらにまけさせた。まとめて買うから墓をまけろ、というのは聞いたことがないといって住職があきれた、というのは、よく母が話していた笑い話だ。

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 だから、近所の家の墓がずらっと並んでいる。墓参りに行くと、線香を余計に用意して、どの墓にも線香をあげる。前の家のHさんのじいちゃん、ばあちゃん、Kさんの旦那さん、この間若くして亡くなったAさんの息子さん、そしてYちゃんの両親。

 「なんか荒れてるね。息子さん、来てないのかな」

 信心深いところのある家内は、水を替えて、墓石を拭いて、花を半分わけて、Yちゃんちの墓に供える。

 私の母は認知症でもう何もわからなくなって死んだ。ウチのおばあちゃん、あっちでしっかり世話してもらえるように頼んどかなくちゃね。家内が息子にそんなことを話していた。

 

 私の家の一角はもともと建て売り住宅だから、どの家も田舎から出てきたり、近くの人でも独立して一家をなし、何十年か住み続けているということになる。だから、みな墓を買い求めた。偶然に近所に住んだわけだが、墓までも隣近所ということになった。家の一角だけでなく、町内でも、その時買った人が多かったから、知り合いの墓がそこにもここにもある。

 

 考えてみれば、Yちゃんともそう遠くないうちに、お隣同士になるのだということに気づいた。あと、何年かすると、彼も菓子折りや果物を携えて、私の家に来るのだろうか。それも、楽しみのような、少し寂しいような気がするのである。

 

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