日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

「動物農場」を読む

  ジョージ・オーウェルの『動物農場』を読んだ。先月、流行にのって(?)『一九八四年』を読んだ。『一九八四年』は小説の後半で、だいぶ滞って読み進めるのが辛かったが、これは一気に読み進められた(短いということもあるのだが)。

 

動物農場: 付「G・オーウェルをめぐって」開高健 (ちくま文庫)

動物農場: 付「G・オーウェルをめぐって」開高健 (ちくま文庫)

 

 

 

 読んでいて、豚のナポレオンが、歴史上のあれこれの独裁者や為政者に確実に重なってくる。純粋な、まっとうな要求や願いから始まった革命が、次第に形を変え、醜悪な独裁政治に変容し、人々が、いや、動物たちが翻弄されていくさまが、まるで実際の歴史をなぞるように語られていく。革命を讃える歌が、独裁者を讃える歌に変わり、事実が捻じ曲げられたり、なかったことになり、太ったものがますます太り、痩せているものがますます痩せていく。誠実に生きようとする者には、常に悲劇が訪れ、豚はブクブクと太り、誰もが知らないうちに、突然、凶暴な犬が現れる。独裁者がいて、忠実な信奉者や扇動者、あるいはスパイや傍観者がいる。権力闘争や隙を窺う隣国(周囲の人間の農場)、崇高な理念や思想に常につきまとう胡散臭さ。この動物農場の有様は、さまざまな歴史やさまざまな現実と二重写しになっていく。「同志ナポレオン」と呼ばれていた豚を、だれもが「われらの指導者、同志ナポレオン」とか「すべての動物の父」と呼ぶことを強要されるようになっていく過程は、かつて多くの国で経験されてきたことであり、今もどこかの国で起こっていることを、残念ながら私たちはよく知っている。

 この「おとぎばなし」は、恐ろしいほど的確に人の世界をとらえている。

 

 できれば、もっと若い時に読んでおくべきだったと思うが、実は、高校の時、大の苦手教科だった英語(苦手というより恐怖の対象だった)の副読本がオーウェルで、今まで気になりながら手がつかなかった(副読本は2冊あって、もう一冊はバートランド・ラッセルで、これは訳文を読んでも理解できなかった)。ちなみにテキストは『象を撃つ「Shooting an Elephant」)』 だった。

 あの頃は、歯が立たなかったがこれも読み直してみようかと思う。老人の感傷としてではなく。

 

象を撃つ―オーウェル評論集〈1〉 (平凡社ライブラリー)

象を撃つ―オーウェル評論集〈1〉 (平凡社ライブラリー)

  • 作者: ジョージオーウェル,川端康雄,George Orwell,井上摩耶子,小野寺健,小野協一,河合秀和
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1995/05
  • メディア: 文庫
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後記:

 半年ぶりの更新です。ポツポツとですが、更新していくつもりです。よろしくお願いします。