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「キングコング 髑髏島の巨神」 キングコングのサイズは…

 

 公開初日に、息子と一緒に日本橋で見た。公開初日というと、待ちに待ったという感じがするが、そういうわけではなくて、部活で忙しい息子と出かけられる日が丁度その日だったというだけのことだ。映画を観る前に、丸善で本を買って、早めの昼食に名物ハヤシライスを食べた。劇場は八分以上の入り。思いの外、年齢層が高いのは字幕版だからか。

 

キングコング 髑髏島の巨神

キングコング 髑髏島の巨神

 

 

 

 怪獣映画は、続編になるほど、怪獣のサイズが大きくなる傾向があるが、サイズが大きくなるほど、刺激は強くなるがドラマが薄味になるのではないか(サイズについては以前、ガメラや大魔神の記事でも触れたことがある)。

 

「ガメラ」生誕50周年記念映像「GAMERA」SHORT VER.(宮藤官九郎がギャオスに食われる5分程度の特別映像。この出来が素晴らしい)を監督した石井克人氏のインタビューを改めて読み返したのだが、サイズについてこんな発言がある。

 

――今回、ガメラの設定はどのようにお考えなのでしょう?

石井:「ガメラは子供の味方」という、一連のシリーズ共通の設定は守っています。大きさは、井上さんから「100mで」と言われたのですが、美術監督の都築(雄二)さんの方から、都内で立てる場所がないと(笑)。実在する場所の道幅などを基に、ギリギリ成立できるのが65mぐらい。だから今までのガメラと同じでOKという結論になりました。ハリウッド版ゴジラ(『GODZILLAゴジラ』2014))は格好良いけど、あのサイズ(全高108mと設定)だと、ゴジラとビルの間に人がいる感じがなくて、演出的にもちょっとデカすぎるんですよね。

 

 

 これは、実際の製作者の視点ならではの卓見で「シン・ゴジラ」でも感じたことだ。「シン・ゴジラ」では、ゴジラと人が一緒に映るシーンはない。

 さてキングコングだが、ネットで調べてみると、1933年版のコングは12フィート(7.2M)、1976年のリメイク版は55フィート(16.7M)、2005年版はオリジナル版と同じらしい。今回の映画では、コングは100フィート(30M)。シン・ゴジラの100Mに比べれば、はるかに小さいがやはり結構大きいのだ。これだけ大きいと、海を越えるのもエンパイアステートビルによじ登るのも難しくなる(もちろん、今回島を出なかったのには他の理由があるのだろうが)。ヒロインとの対比も感じが違ってくるはずだ。実は、今度のコングは大きい、という情報を知った時から少し嫌な予感があった。

 

   予感は当たったかもしれない。私は本来、怪獣映画好きで怪獣が出てくるだけで満足するようなところがあるので、特別退屈はしなかったが、見終わってロビーに戻る時、どうにも物足りなさを覚えた。息子は、隣を歩きながら、途中、ちょっと寝た、と気まずそうに話しかけてきた。彼も、折角、日本橋まで来たのに、という物足りなさを感じていたのかもしれない。

 そもそも、私は怪獣映画を見に来たのだろうか。それとも、キングコング映画(そういう言い方があるのかどうかわからないが)を、見に来たのだろうか。怪獣映画としてなら、映像的には面白いし、いろんな怪獣は出てくるし、それはそれでいいのだが、キングコングがただの怪獣では、キングコング映画としてどうにもおさまりが悪い。

 1976年版は大学生の時、リアルタイムで観ている。ジェシカ・ラングとジジェフ・ブリッジス。最後、ヘリに攻撃されて、ビルから落ち、ニューヨークのアスファルトの上に横たわるコングの姿は、断末魔の大きな心音とともに、記憶に残っている。2005年版も見ているが、これはなにしろ長尺な映画で、途中、退屈で閉口しながらも、主演のナオミ・ワッツの名前は覚えている。今回は、ヒロイン役の女優の顔も名前もはっきりしない。コングとヒロインの交流(?)は至極あっさりしたものだ。

 これまでのキングコング映画を見ていないものにとっては、今回は単なる怪獣格闘技大会のような印象を与えるかもしれない。島の中だけの話では、そうならざるを得ない。

 そもそも、髑髏島を調査する理由が、未知の生物の探索というのは高邁すぎて、キンコング映画に合わない。未知の島を訪れる目的は、やはり「一攫千金」でなくてはドラマにならない。人間の際限のない欲望が強調されるから、コングを見世物にするためにニューヨークへ運ぶということに説得力が出てくる。人間の欲望に翻弄されるコングの誇り高き戦いとその悲劇的な末路という物語の核の部分を変えてしまうと、やはりキングコング映画の魅力は薄れてしまうのだろう。

 

 東宝の「キングコン対ゴジラ」は、私が小学生の時に公開された。帰り道に、息子とそんな話をしながら、それにしても、30Mのコングは、100Mのゴジラとどう戦うのだろう、と少し心配になってきた。

 

 

※ コングを見世物にするために都会に運ぶというのは、「モスラ」や「ガメラ対バルゴン」もでも、形を変えてなぞられている。一攫千金ということになると、当然、欲深い人物や悪辣な輩も出てくるし、それに嫌悪や反感を持ったり、場合によったら対立する正義派も出てくるわけで、それがコングをめぐって新しいドラマを作っていくのだが、この映画にはそれがない。

 また、これまでのキングコング映画では、調査隊は基本的に民間人なのだが、今回は軍人が中心になる。これも、ずいぶん考えものなのだが、サイズが大きくなると、それでなくてはリアリティーがないということなのか。

 「一攫千金」ではなくとも、コングをニューヨークに連れてくるストーリーは思いつきそうだが、これはサイズの問題だけでなく、あの惨事の爪痕が癒えてなくて無理ということもあるのか。

 

 東宝の「キングコング対ゴジラ」では、コングのサイズは45Mと大きいが、運ぶ手段は、一応考えられていた(確か、新製品の繊維だったか)。

 

 これまでも、コングは恐竜や大蛇と戦ったりしているが、大タコは東宝版を意識してなのか(足を食べちゃったのは、結構新鮮に感じた)。ただ、メインとトカゲのような怪獣はいただけない。何かクニャクニャしていて、落ち着きのない奴でなので、見ていて落ち着かない。

 キングコングが他の怪獣と決定的に違うのは、戦う時に、道具を使えることだろう。そういう意味では、それなりに工夫されていたか。

 

 最後に、東宝の怪獣の出現が予告されていた(島の壁画に、モスラやラドンの絵が描いてあった。もう、席を立っていたので、よく見なかったがキングギドラらしい絵もあった)。モスラまで登場するとなると、インファント島も出てくるのか。あの小美人はどうするのか、などいろいろ気にかかってくるが、余計なお世話というべきか。

 

 

 

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