日付のない便り

日々のとりとめのない覚書 映画や読書 そして回想

『はじまりのうた Begin Again』を観る 何かとりとめなくて

 

 かつては辣腕だったが、今は落ち目のプロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)が、無名のシンガーソングライター、グレタ(キーラ・ナイトレイ)と出会って、夢よもう一度、というストーリー。うーん、よくある話だが、何かサラサラしていてとりとめがない。

 

はじまりのうた BEGIN AGAIN(字幕版)
 

 

 ダンは自ら創立した会社をクビになり、妻とも別居。娘とも気まずい状態。グレタは恋人に公私ともに裏切られたシンガソングライター。失意の中、友人にうながされて、バーでおずおずと歌い始める。全く、観客受けしないのだが、たまたま居合わせたダンは彼女に無限の可能性を感じる。こう書いてみると随分ドラマチックな印象があるが、とにかく登場人物に悪人というか嫌なヤツが出てこない。ダンは、職人肌だが、特別に思い込みが強いとか独善的というわけではない。だから、家族とも会社とも修復不可能な反目や決定的な決別というところまでは進まない。グレタも、エキセントリックなところがなく、ほどほどの常識人。だから、最初からダンとぶつかるようなこともない。最初から、二人は互いの信頼関係を築きながら徐々に壁を乗り越えていく。このあたり、ドロドロしたところが全くなくて、これがまあ現代的というか、今風なのかもしれないが、どうにも物足りない。

(私は、日常的に音楽を聴く習慣がないので、全く的外れだろうが)映画の中の楽曲は良質だとは思うが、心に残るというほどでもない。歌の成功によって、家族の再生にこぎつけたり、自らのアイデンティティの確認をしたりと、まあ、それで悪いことは何もないのだが、何か「健康に良い」料理を無理に食べているような味気なさがある。もっと脂身のたっぷり入った肉が食べたい、と思ってしまうのは、どうにも頭も感覚もついていけなくなっているからか。

『はじまりのうた Begin Again』 監督 ジョン・カーニー 2013年公開

 

※ 落ち目のプロデューサーというと、大昔に芦田伸介がテレビドラマ「海峡物語」(五木寛之原作)で演じた「艶歌の竜」を思い浮かべてしまうのだから、ついていけなくて当たり前か。そういえば、藤圭子のデビューストーリーは、「海峡物語」をヒントにしているようなことを何かで読んだことがある。藤圭子のデビューは私が中学3年生の時で、世の中の不幸を一身に背負ったような美少女の大人びたハスキーボイスは、歌にさして興味がなかった私でも鮮烈に覚えている。私の友人にも熱狂的なファンがいた。彼女の持つどこか不健康な匂いのする、あやしい魅力は今のアイドルには全く見かけないものだ。よくも悪しくもあの頃は、今より味の濃いものが多かったような気がする。

 

 

海峡物語 【五木寛之ノベリスク】

海峡物語 【五木寛之ノベリスク】

 

 こちらの記事もどうぞ。

 

kssa8008.hatenablog.com

 

 

kssa8008.hatenablog.com

 

 

kssa8008.hatenablog.com